「第一印象が大切」
~あなたはどう感じる?~
「そうだよね、そんなの当たり前じゃん」と思った方が多いのではと思います。では、なぜ第一印象が大切なのでしょう。
今回の記事では、「なぜ第一印象が大切なのか」、それを行動経済学の観点から解説します。
以下の状況を想像してみて下さい。
取引先で担当者変更があり、急遽引継ぎの挨拶に来てもらうことになりました。ただ、自分に次の予定があり時間がなく、一言の挨拶と名刺交換だけでその日は終えることとなりました。
さて、その新たな担当者の男性が、以下のAさん、Bさんだった場合のそれぞれをイメージしてください。
あなたはその人と今後一緒に仕事をすること(自分にとって大事な案件で依頼をすること)について、どのように考えるでしょうか。
【Aさん】
パリッとしたスーツを着て、綺麗に整えた髪の毛の男性が、明るく笑顔で挨拶をしてくれた
【Bさん】
若干しわの入ったスーツを着て、ぼさぼさの髪の毛の男性が、無表情でボソボソと挨拶をしてくれた
どうでしたか?
きっとあなたは、Aさんに対しては全体的にポジティブな印象を抱いたはずです。
✔ きっと仕事もテキパキこなすんだろうな
✔ 頼りがいがあるな、新しい案件が出てきたら、彼に依頼してみようかな
一方でBさんに対しては、以下のようなネガティブな印象を抱いたはずです。
✔ 仕事もなんだかパッとしなそうだな
✔ イマイチ頼りがいがないな、新しい案件を任せてしまっていいのだろうか
しかし、ここで冷静に考えてみてください。あなたはAさん、Bさんと、実際にはたった数分の挨拶しかしていないのです。
しかしあなたは、Aさん、Bさんの実際の働きっぷりを知らないにもかかわらず、「第一印象だけ」でその人の他の一面(仕事のでき具合、信頼性)まで評価してしまったことになります。
ハロー効果
~自分の見たものがすべて~
このように私たちは、第一印象によって、ある人(モノ)について、自分の目で確かめてもいないことまでをポジティブに(もしくはネガティブに)思ってしまう傾向を持っているのです。
この傾向は「ハロー効果(Halo Effect※)」と呼ばれていて、ある人やモノを評価する際に、その見た目、声や話し方、その人の肩書きのような目立ちやすい特徴に引きずられて、他の特徴についての評価が(ポジティブもしくはネガティブに)歪められてしまうという、一種の認知バイアスなのです。
他に具体例を挙げると、たまたま安い居酒屋で会ったおじさんと話している時、途中で大企業の社長と分かった途端急に身構えてしまったり、帰国子女だと聞いて会った人が(話したこともないのに)「英語ペラペラな人」に見えたりするのも、ハロー効果の影響と言えます。
会社の人事にも影響を与えていると言われております。例えば採用面接では、ほんの短い面接時間での印象が、全体的な評価を構成してしまう可能性がある訳です。
採用”される”側は、できる限り第一印象を良く見せることが大事になりますし、採用”する”側は、いかに「ハロー効果」に惑わされず本質を見極められるか、が大事になりますね。
ハロー効果とマーケティング
~どんなイメージを持たれたい?~
この「ハロー効果」ですが、マーケティングの世界でも一般的に活用されています。一番分かりやすい例はCMです。
爽やかなイメージのある俳優さんが、洗濯洗剤や柔軟剤のCMに起用されていると、私たちはその商品に「清潔感」があるように感じるはずです(まだ使ってもないのに)。
一方で、起用した俳優さん、女優さんで不祥事が起こると、その商品のブランドイメージが一気に悪くなってしまいます(だからこそCM放送はすぐに中止されるのです)。
これらも「ハロー効果」が前提となっていると言えます。
また他にも、口コミ評価が高かったり、雑誌やTV番組で取り上げられたレストランも、「美味しいお店に違いない」という印象が先行し、(他の評価が低い無名のお店よりも)行きたいと感じてしまうというのも同じです。
逆に、企業が新たな商品やサービスのマーケティングを行う際には、「その商品にどんなイメージを持たせたいか」を考え、そのイメージを想起させる広告やキャンペーンを行うことが重要、ということになります。
まとめ
~ハロー効果を活かそう!~
いかがでしたでしたか?
「第一印象が大切」ということの理由について、改めて納得していただけましたでしょうか。
気合入れたい合コンの時、初めて彼氏・彼女のご両親とお会いする時、お客様との初めての商談の時、どんな準備をすれば良いか、どんな振る舞いをすれば良いか、あなたはもうお分かりですよね?(見栄の張りすぎは逆効果なのでくれぐれもお気をつけを!)
また、あなたが新商品や新サービスを始めてお客様に使ってもらう時、どんなことに気を付ければ良いでしょうか。もしかしたら、その「第一印象」でその商品やサービスの命運が分かれる、というのも、あながち誤りではないのかもしれません。
最後に
~保険のイメージって?~
最後に少しだけ保険のイメージ(と筆者の所感)の話をさせて下さい。
保険=「安心感」「信頼感」
ポジティブな要素でいくと上記のようなものが一般的なイメージかもしれません。「万が一の際に安心をお届けする」という保険のコアバリューを踏まえると、そのイメージは今後も非常に重要になってくると思います。
ただ、今後デジタル化の波が押し寄せ、激動の時代に突入していく今の時代、本当にそれだけで大丈夫なのでしょうか。
「保険って面白い!」
「保険の可能性ってこんなに大きいんだ!」
「保険ってこんなワクワクするんだ!」
こういったイメージを持ってもらうことで、業界の垣根を超えたサービスや商品がどんどん生まれていく、そんな世界が来たらいいなと思いますし、実現していきたいと思っています。そのためには、どんな人材を抱え、どんなマーケティング・広報戦略をとるべきなのでしょうか。ハロー効果を活かした戦略は練れないのでしょうか。
是非、皆様のご意見も聞きたいと思っていますので、どしどしコメントいただければ幸いです!
次回の記事では、「過去の自分自身の判断が、想像以上に私たちの購買行動に影響を与えている」というお話をさせていただきます。お楽しみに!
文責:尾崎
【参考文献】
ダン・アリエリー(熊谷淳子訳)『予想通りに不合理』早川書房, 2008年
ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー(上)あなたの意思はどのように決まるか?』 早川書房, 2014年
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